2012年02月22日

FUN TO DRIVE,AGAIN.

トヨタ自動車、ITS技術の活用により交通事故低減を目指す、
「インフラ協調による安全運転支援システム」の公道走行実験を実施

―700MHz帯の通信インフラを活用した効果検証により、
今後のシステム開発・交通環境改善に活用―

  トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、高度道路交通システム(ITS*1)技術を活用し、交通事故低減を目指す、「インフラ協調による安全運転支援システム*2(以下、インフラ協調システム)開発の一環として、警察庁が推進し、社団法人 新交通管理システム協会(以下、UTMS*3協会)が主催する「安全運転支援システム(DSSS*4)」の実証実験に参画し、2012年3月より、愛知県豊田市において公道走行実験を実施する。

  今回、公道走行実験を行うシステムは、従来の光ビーコンを通じて所定のポイントで情報提供されるシステムを進化させたもので、総務省より2011年12月にITS向け周波数として割り当てられた700MHz帯の電波を利用する。車両に搭載したセンサーでは検出困難であった、右折車の死角に入った対向直進車や横断中の歩行者を、路側に新たに設置したセンサーで検知し、その情報を新設した路側無線装置から700MHz帯の電波を用いて、ドライバーに提供することで、交差点事故の主な原因となっている認知ミスを防止しようとするものである。

  トヨタは、これまでも、究極の目標である「交通死傷者ゼロ」を目指し、より安全な車両・技術開発を進めてきており、今回の公道実験を、「2018年までに交通事故死者数2,500人以下」*5という政府目標の実現に向けた取り組みの一つとして位置付けている。

  トヨタは、今回の公道実験を通じ、様々な運転状況でのドライバーの運転行動データを収集、分析することにより、インフラ協調システムによる事故低減効果を予測し、当該システムの開発に活かしていきたいと考えている。今後は、音声やディスプレイでの情報提供に加え、ドライバーへの警報や車両の減速・停止といった「インフラ協調による介入制御」等への発展を視野に入れたシステムの開発につなげていく予定である。
  トヨタによる公道走行実験の概要
▽実験期間: 2012年3月~2012年5月までの、約3ケ月間を予定
(データ比較のためサービスなしの実験を2011年12月~2012年2月までの約3ケ月間実施)
▽実験地域: 愛知県豊田市
▽車両台数: トヨタ社員の通勤車両等40台
※ 2012年後半に対象者を一般市民に拡大して実験予定
  ITS向け周波数(700MHz帯)の概要
  地上波TV放送がアナログ放送からデジタル放送へ移行したことで使用可能となった周波数帯の一部であり、建物や大型車の陰などの見通し外への回り込みに優れた電波特性を有するため、危険な状況の発見遅れが原因で発生する交差点での出会い頭衝突事故や、右折時の対向直進車との衝突事故等の防止支援に有効であると期待されている。
  無線通信方式*6には、2012年2月に一般社団法人電波産業会で策定されたARIB STD-T109を用いる。
<ご参考>
  公道走行実験システム概要
豊田市内の交通事故多発交差点4ケ所に、700MHz帯の電波による路側無線装置を設置し、センサーで検知した対向直進車や右折先の横断中の歩行者の存在情報を通知。
車両側の実験用車載システムで受信し、音やディスプレイでドライバーに情報提供する。
<右折時衝突防止支援システム>
<歩行者横断見落とし防止支援システム>
*1 ITS: Intelligent Transport Systems
*2 インフラ協調による安全運転支援システム:
  高度道路交通システム(ITS)のひとつで、ドライバーから直接見ることのできない情報や管制情報を、道路に設置された通信インフラや他の車両などから無線通信によって受信し、ドライバーに知らせることで、安全運転の支援や事故防止につなげるシステム。
*3 UTMS: 新交通管理システム(Universal Traffic Management Systems)。
通信技術を用いた個々の車両との双方向通信により、ドライバーに対してリアルタイムの交通情報を提供するとともに、交通の流れの積極的な管理によって「安全・快適にして環境にやさしい交通社会」の実現を目指すシステム
*4 DSSS: 警察庁の推進する安全運転支援システム(Driving Safety Support Systems)。
*5 「2018年までに交通事故死者数2,500人以下」:
  「新たな情報通信技術戦略 工程表」(平成22年6月22日、政府高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 決定)より引用。
*6 ITS向け周波数で使用する無線通信方式:
  ・700MHz帯高度道路交通システム標準規格(ARIB STD-T109)

以上