2010年12月06日

サトウキビの品種改良を効率化する遺伝情報解析技術を新たに開発

-広く植物増産への利用を目指す-

  トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター(以下、九州沖縄農研)と共同で、品種改良を効率化できる遺伝情報解析技術を新たに開発した。本技術の中核となる高精度DNA*1解析技術はトヨタが開発し、この技術をベースに、サトウキビの特性評価を九州沖縄農研が、遺伝情報解析をトヨタが担当し、両者を統合することで本技術を開発した。トヨタは、今回新たに開発した技術により、サトウキビの育種期間の大幅な短縮と特性の向上を実現できると考えている。

  作物の品種改良は従来、過去の膨大な育種実績に基づき両親になる品種を選定・交配し、長期間多数の子孫を評価することで、目的の特性を有する子孫を新品種として選抜していた。これに替わる画期的な品種改良技術として、イネやトウモロコシでは、遺伝情報を利用して特性を予測する「マーカー育種技術」の実用化が進められている。しかし、サトウキビはDNA量が多いため遺伝情報の解析が難しく、マーカー育種技術の適用は困難とされていた。
  このような状況に対して、トヨタはDNAマイクロアレイ技術*2をベースとして大量のDNAを高精度に解析する技術を新たに開発した。この技術を用いることで、これまでより精度が5倍高いサトウキビの「遺伝地図*3」作製に成功し、重要遺伝子の位置特定と品種改良への応用が可能になった。

  トヨタは、遺伝情報解析技術を新たに開発したことにより、目標に掲げている「サトウキビ育種期間の50%短縮」に大きく前進できると考えており、糖生産性向上や耐病性強化によってサトウキビの増産が可能になるものと期待している。

  本技術の中核となった高精度DNA解析技術は、サトウキビと同様にDNA解析が難しいとされている他の作物にも適用することができる。トヨタは、これまでバイオ燃料の普及促進などを目的として植物の増産技術開発を進めてきたが、この技術は食糧増産や環境保護にもつながる社会的に有意義な技術であると期待しており、幅広く活用していただくために、情報開示・提供に積極的に対応していきたいと考えている。

  トヨタと九州沖縄農研は、12月7日から神戸市で開催される第33回日本分子生物学会で本技術を発表する。
*1  DNA (デオキシリボ核酸): 動植物など生物の遺伝子情報を持つもので、細胞分裂の際に、
元の細胞と同じ遺伝子情報を子孫に伝える、二重螺旋構造の高分子。
*2  DNAマイクロアレイ技術: 対象とする生物の遺伝子情報を、網羅的かつ迅速に解析する技術で、
ヒトの体質、発ガン危険率などの評価において実用化が進められている。
*3  遺伝地図:生物個体の遺伝子や、植物の品種などの系統に特有なDNA配列の位置関係を表した地図。

以上